一般成分 | 別名: たん | |
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脂肪酸 |
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アミノ酸 |
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炭水化物 |
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食品別 留意点 |
一般成分 | 肉類の全般に通じる主な事項は、次のとおりである。 ① 肉類を<畜肉類>、<鳥肉類>及び<その他>の中項目に分けた。牛肉は[和牛肉]、[乳用肥育牛肉]、[交雑牛肉]、[輸入牛肉]及び[子牛肉]に分け、それぞれ部位別の成分値を収載した。また豚肉は、[大型種肉]と[中型種肉]に分け、それぞれについて部位別の成分値を収載した。 ② 牛肉、豚肉は、原則として「脂身つき」、「皮下脂肪なし」及び「赤肉」を収載し、部位によっては「脂身」を収載した。「脂身つき」は、厚さ5 mmの皮下脂肪及び筋間脂肪を含む肉である。「皮下脂肪なし」は、皮下脂肪を完全に除去しているが、筋間脂肪は含んでいる肉である。「赤肉」は、皮下脂肪と筋間脂肪を除去した肉である(図参照)。なお、さしといわれる筋線維間の脂肪組織(「筋肉内脂肪組織」と呼ぶ)は「赤肉」の一部として扱った。市販の牛肉、豚肉についている皮下脂肪は、本来の脂肪層の一部を切り取り整形したもので、現在の市販品に準じ、皮下脂肪の厚さを5 mmとした。「もも」、「そともも」等の部分肉は皮下 脂肪が薄く、5 mm以下であることが多いため、もともとの厚さが5 mm以下の場合はその厚さとした。 ③ 肉類の大部分を占める家畜及び家きん肉の成分値は、動物に給与した飼料の成分によって変動し、また、年齢、品種、筋肉の部位によっても異なってくる。そのため、標準的な条件で肥育された家畜、家きんから各部位の肉を試料とした。家畜及び家きん肉では季節による成分値の変動がほとんどないため、試料入手に当たっては、季節的な要因を考慮していない。 ④ なお、脂溶性ビタミンの一部など、標準的な生産条件では含まれないと考えられる成分については測定を行っていないが、給与飼料による影響が大きいため、一部の生産条件においては検出される場合もありうる。 ⑤ 野生動物や特殊獣鳥肉は、市販されている肉を試料とした。その中でも皮や皮下脂肪を食用にすることが通例の食品は、皮つきの成分値を収載した。 ⑥ 特に独立させて扱うほど食品の種類や品目のない陸上動物性食品は<その他>として掲載した。 ⑦ 調理した食品は、「焼き」、「ゆで」、「から揚げ」及び「とんかつ」を収載し、調理する前の食品(生)と同一の試料を用いて調理し、分析した。各食品の調理方法の概要を表16に示した。 ⑧ 肉類に含まれる炭水化物の量は、植物性の食品群と比べて微量であるため、差引きによる値は不適当である。そのため、炭水化物の成分値は、原則として全糖の分析値に基づき決定した。 ⑨ この食品群に属する加工食品には酸化防止のため、L-アスコルビン酸を添加しているものが多く、成分値にかなりのビタミンCを示すものがある。これらについては、備考欄にその旨を示した。 ⑩ 文中の「分析値」及び「分析値(2015)」については、第3章冒頭の「食品群全般に通じる事項」を参照されたい。 以下、食品ごとに成分値に関する主な留意点について述べる。 ![]() 牛肉は赤肉部分に含まれる脂肪交雑の多寡(いわゆる霜降りの程度)によって評価されるため、等級によって脂質含量やそれに関連する成分含量が大きく異なってくる。〔和牛肉〕及び〔乳用肥育牛肉〕は、流通量の最も多い等級のものを、〔輸入牛肉〕は飼料飼育されたショートグレイン等級のものを対象とした。 牛肉の部位名は食肉小売品質基準に準拠して収載した(図参照)。市販の牛肉には「ロース」等の簡単な表示や、小間切れ、ステーキ用、カレー用及びシチュー用等の用途別表示も存在する。この場合、ロースは「リブロース」、小間切れは「かた」、ステーキ用は「リブロース」又は「もも」、カレー用及びシチュー用は「かた」で代表することができる。 「ヒレ」は脂肪含量の少ない筋肉で、1本のブロック又はスライス肉の形で市販されている。筋肉の表面部にはある程度の脂肪が付着しているが、市販の形態を反映させ、筋肉表面の脂肪を除去したものを対象とした。 「赤肉、生」及び「脂身、生」の成分値は、分析値に基づき決定した。「脂身つき、生」及び「皮下脂肪なし、生」の成分値は、「赤肉、生」及び「脂身、生」の分析値に基づき計算により決定した。「焼き」及び「ゆで」の成分値は、分析値及び成分変化率に基づき決定した。 〔副生物〕は、前処理を行った調理材料の形態で市販されているものを試料とした。なお、通常、〔副生物〕は牛の品種を特定して流通していない。 「舌」、「心臓」、「肝臓」、「じん臓」及び「尾」の成分値は、いずれも分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。その他の食品の成分値は、いずれも分析値に基づき決定した。これらの〔副生物〕は、店頭では備考に記した別名で表示されている例が多い。「舌」は、たんと、「心臓」は、はつと、「肝臓」は、レバーと、「じん臓」は、まめとも呼ばれる。胃は4つの部分に分かれており、最も大きいものが「第一胃」で、筋層部分だけを取り出したものをみのという。「第二胃」は細かいひだが蜂の巣状に分布しており、はちのすとも呼ばれる。「第三胃」は内面の粘膜が薄いひだ状に並列しており、この状態からせんまい(千枚)とも呼ばれる。「第四胃」は柔軟で赤味を帯びていることから、あかせんまいとも呼ばれる。「小腸」は約30 mほどの長さがあり、ひもとも呼ばれる。「大腸」は「小腸」 よりも肉が厚く、しまちょうとも呼ばれる。「直腸」は腸の末端に位置する部位で、てっぽうとも呼ばれる。「腱」は、筋肉と骨を結合している結合組織からなる部分で、すじとも呼ばれる。「子宮」は雌の生殖器でこぶくろとも呼ばれ、筋層の部分を食用にする。「尾」は、テールとも呼ばれる。 |
脂肪酸 | 肉類の多くは、家畜品種、給与飼料、肥育方法等によって脂溶性成分の値に違いが生じる。そのため、分表2015年版の区分に従って、現在市場に流通している食品を分析して成分値を決定した。食肉加工品の成分値は、日本農林規格(JAS)が定められている食品については、その規格に合致する市販品の分析値に基づいて決定した。 牛、豚の副生物のうち、胃、腸の周囲には付着脂肪が多く、処理、成形方法によって、その脂質含量は大きく変動する。食品として摂取される脂溶性成分を明確にするため、分析試料は付着した脂肪をできるだけ取り除いたものを用いた。食品として市販されている副生物の大部分も付着脂肪が除去されている。ただし、うしの小腸のうち、筒状のいわゆる「まるちょう」は、付着脂肪をあまり除去せずに提供されることから、本成分表のうし副生物]小腸」の成分値とは異なると考えられる。 油脂を用いて調理する食品は、使用する油脂により成分値が異なる。本成分表では、肉類の揚げ物(とんかつ及びから揚げ)は、「なたね油」を用いて調理した食品の分析値を収載した。 揚げ物のうち、「ぶた[大型種肉]ロース脂身つき、とんかつ」、「にわとり[若鶏肉]もも、皮付き、から揚げ」及び「にわとり[若鶏肉]もも、皮なし、から揚げ」は、既収載の「生」等とは異なる試料の分析値である。このため、揚げ物と同一試料の「生」の成分値を、第2章末の別表に収載した。 |