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エネルギー


食品のエネルギー値は、原則として、FAO/INFOODSの推奨する方法1)に準じて、可食部100 g当たりのアミノ酸組成によるたんぱく質、脂肪酸のトリアシルグリセロール当量、利用可能炭水化物(単糖当量)、糖アルコール、食物繊維総量、有機酸及びアルコールの量(g)に各成分のエネルギー換算係数(表2)を乗じて、100 gあたりの kJ(キロジュール)及び kcal(キロカロリー)を算出し、収載値とした。
 食品成分表2015年版までは、kcal 単位のエネルギーに換算係数 4.184 を乗じて kJ単位のエネルギーを算出していた。しかし、FAO/INFOODSでは、kJ単位あるいはkcal単位のエネルギーの算出は、それぞれに適用されるエネルギー換算係数を用いて行うことを推奨している2)ことから、その方法を採用した。
 成分表の利用面からみた場合、国内の食品表示においては、kcal単位による記載が求められていること、また、栄養学関係の国際学術誌では、kJ表記を求めるもの、kcal表記を求めるものが一部にあるものの、両者の利用を認めているものが多いことが報告されている3)。さらに、2016年に改正施行された計量法(平成4年法律第51号)では、熱量の計量単位はジュール又はワット秒、ワット時である。しかし、2019年に改正施行された計量単位令(平成4年政令第357号)では、人若しくは動物が摂取する物の熱量又は人若しくは動物が代謝により消費する熱量の計量のような特殊な計量の場合には計量単位カロリーの使用が認められている。これらの状況を勘案して、kJ単位及びkcal単位のエネルギーを併記した。
 なお、アミノ酸組成によるたんぱく質とたんぱく質の収載値がある食品については、エネルギーの計算には、アミノ酸組成によるたんぱく質の収載値を用いた。脂肪酸のトリアシルグリセロール当量で表した脂質と脂質の収載値がある食品については、エネルギーの計算には、脂肪酸のトリアシルグリセロール当量で表した脂質の収載値を用いた。そして、成分項目群「利用可能炭水化物」については、成分値の確からしさを評価した結果等に基づき、エネルギーの計算には、利用可能炭水化物(単糖当量)あるいは差引き法による利用可能炭水化物のどちらかを用いた。これについては、エネルギーの計算にどちらの成分項目を用いたかを明示するため、本表において、エネルギーの計算に利用した収載値の右に「*」を付けた。このように、本成分表では、食品によってエネルギー計算に用いる成分項目が一定していないので留意する必要がある。
 エネルギーの計算方法の詳細は、資料「エネルギーの計算方法」に示した。


また、食品成分表2015年版におけるエネルギー計算法を適用した場合の食品毎のエネルギー値については、第3章において「2 食品成分表2020年版と2015年版の計算方法によるエネルギー値の比較及び2015年版で適用したエネルギー換算係数」として示した。