脂肪酸はカルボキシル基1個を持つカルボン酸のうち鎖状構造を持つものの総称であり、脂質の主要な構成成分として、グリセロールとエステル結合した形で存在するものが多い。分子内の炭素鎖に二重結合を持たないものを飽和脂肪酸、一つ持つものを一価不飽和脂肪酸、二つ以上持つものを多価不飽和脂肪酸という。特に、二重結合を四つ以上持つものを高度不飽和脂肪酸と呼んで区別する場合もある。脂肪酸(脂質)の摂取に際しては、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸のバランスが重要であるとされている。本成分表では、脂肪酸は脂肪酸組成に基づき算出し、飽和、一価不飽和及び多価不飽和脂肪酸に分けて表示した。
多価不飽和脂肪酸のうち、末端のメチル基の炭素原子から数えて3番目及び6番目の炭素原子に二重結合がはじめて出現するものをそれぞれn-3系多価不飽和脂肪酸及びn-6系多価不飽和脂肪酸という。これらのうち動物体内では合成されず、食物から摂取しなければならない脂肪酸としてリノール酸及びα-リノレン酸がある。これらを必須脂肪酸と呼び、多くの生理活性物質の原料となる。必須脂肪酸が不足すると発育不全、皮膚の角質化等が起こる。最近の研究では摂取するn-3系多価不飽和脂肪酸とn-6系多価不飽和脂肪酸の比率が重要と考えられている。
測定法の概要を表10 に示した。
なお、脂肪酸の組成(各脂肪酸の成分値)は、脂肪酸成分表編に収載している。
成分 | 試料調製法 | 測定法 |
---|---|---|
脂肪酸 | 脂質抽出後、エステル化 | 水素炎イオン化検出−ガスクロマトグラフ法 |
コレステロール | けん化後、不けん化物を抽出分離 | 水素炎イオン化検出−ガスクロマトグラフ法 |
食物繊維 | 酵素−重量法(プロスキー変法) |